かもめ☆チャンス 面白い

かもめ☆チャンス 1 (ビッグコミックス)

かもめ☆チャンス 1 (ビッグコミックス)

ひとまず、乗鞍ヒルクライム編終了まで読んだが、大変おもしろい。
玉井作品として初めて読んだのは「じこまん」で、その時から作者の老獪さは感じていた。
本作はその性質がいかんなく発揮されている印象。

口三味線の達人で、勝負のためならば実の娘すら泣かす程の挑発をも厭わない、箕輪氏。
大企業の社長で、我欲のためなら金も立場も臆面無く利用する、半田氏。
自らの理論を実戦するため、飛び入りライダーを焚きつける事に迷いの無い、森氏。
これら老獪なるおっさんキャラクター達が、物語に厚みををもたらしている。

若手のキャラクター達は、もちろんレース経験豊富な選手たちはクレバーではあるけれど、
そでれもなお「熱」が先行しているように感じられるのが、おっさんと対照的。

一人異質な小菅の描かれ方も良い。
社会不適合な性格をした彼は、レースの世界での活躍がクローズアップされた後もなお、
社会不適合を貫き続けている。変に、みんなに暖かく迎え入れられるようなお為ごかしは無い。


これら、厚みを感じられるキャラクター達が最大の魅力だが、もちろんレースの描写も
素晴らしい。更科の家庭の事情と個人の性質を軸に据えた、ストーリーも興味深い。
大人向け作品として、良く練られているのだなあ。


続くピスト編を読み始めたけれど、これはテーマがテーマだけに、ちょっと先がコワイ。