「シャカリキ!」読んだ、けど

自転車物の漫画として非常に評価の高い「シャカリキ!」を、今更ながらに読んでみた。

シャカリキ! (Vol.1) (ビッグコミックスワイド)

シャカリキ! (Vol.1) (ビッグコミックスワイド)

読んでみたのだが、ちょっとこれは、合わない。
ワイド版1巻の読了時点で、もう続きを読みたいと感じられない。
よっぽど悪い評価を聞かない作品なので、この感想に至ったのは自分自身意外だった。

ただ、その理由は明白である。主人公の性質が気に入らないんだ。
これと決めた目標に向かっては、決して引かず屈さず貫き通す。それは素晴らしいんだけど、
その他の部分であまりにも幼稚というか、配慮が無いというか、思慮が足りないというか。
一人で突っ走るテルの想いを周囲が察してくれて、文句を言いながらも助けてくれる。
そんな優しさに囲まれながら、当のテル本人は気づこうともせずに迷惑をかけ通す、ってのが。

小学生時代ならまだ、ちょっと成長が遅いのかな、くらいに思えるのだが、高校入学時点まで
これっぱかりも変わっていないのだから、面食らう。
鳩村先輩の代車を巡る一悶着でのユタの挺身によって、ようやく心の成長の兆しが見えた
気がしたのだが、結局有耶無耶になってしまった印象。

最も気に食わないのが、小学生時代のエピソード。
自転車を買って貰う以前の頃、練習のためと称して他人の自転車を奪い取る蛮行を繰り返す。
それも、停めてあるものを勝手に拝借、どころではなく、体当たりやロープによる妨害を施して
乗っている人を蹴落としてから奪っていくのだから、とんだ強盗である。
転ばされて怪我を負った子もいるだろう。「練習」で転んで傷つけられた自転車も有るだろう。
そんな被害者達の心を思うと、あのエピソードが美談のように描写さていることに戸惑う。

きっと2巻以降、レースの描写も増えて面白くなって行くんだろうけれど、ダメだ。
その前に心が萎えてしまった。