読んだ本

タイムマシン (光文社古典新訳文庫)

タイムマシン (光文社古典新訳文庫)

kindle版にて。
最近、kindleを活用するようになってきた。
こういう、一度は読んでみたいと思うものの、その後本の形で残しておきたい
程ではない、という作品に手を出しやすくなるのは、本当に電子書籍さま様。

さすがは古典の名作と讃えられる所以か、それとも翻訳が良いのか、特に難解な部分もなく
スラスラと読めた。
面白いか否か、では間違いなく面白かった。
ああもちろん、相対性理論に明るくないので、タイムマシンの原理に関する説明は話半分だが。

タイムトラヴェラー氏が目指した未来が、いきなり80万年後というのは突飛に感じた。
イーロイとモーロックを描くためには、それくらいの時間間隔を置く必要があろうけれど、
それはメタ的な事情であって、タイムトラヴェラー氏の心情が納得できるか、とは別。
新石器時代が1万年前だそうだから、その80倍もの時間を超えれば、最早人類が原型を
保っていないであろうことは、聡明なタイムトラヴェラー氏なら想像に難くないと思うが。
普通の発想ならば目指すのは数百年後か、長くても数千年先の未来ではなかろうか。
現在と見比べて、差異を楽しめる程度の隔たりが丁度良いと思う。
トラヴェラー氏にとってはまず、タイムマシンを作ることそのものが目的で、未来が
どうなっているかは、二の次なのかもしれない。

そもそも、いろいろとおっちょこちょいというか、迂闊なところが有るよな、氏は。
作中の描写から見て、どのくらい先の未来で降りるかはまったく計画していない。
「タイムマシン作っちゃったオレ、すげー」という勢いだけで出発している。

タイムマシンで渡航してきた証拠をいかに示すか、全く念頭になかった当たりもドジっ子すぎる。
出発の瞬間くらい、会食のメンバーを集めて見せておけと。