百合姫 '14 1月号、読み終わった
さすがに、予備知識が必要そうな、幾つかの連載作品は読んでいないけれど。
この雑誌、紙質が良すぎ。
厚みにすると別冊チャンピオンの6割くらいだが、ページ数はほぼ同じでおののく。
意外とこれ、重要な要素だな。百合という、視覚的なキレイさが重要な世界で紙が
ザラザラしていたら、作品に没頭しづらかっただろう。
コラムや読者投稿のページに至っては、文字や枠が金色がかっていて殊更豪華。
百合姫という雑誌世界にトリップするための、欠かせない手助けなのだろう。
880円という高額設定もやむ無し、と思った。
お目当ての水先生は、水あさとのいいとこ取りといった感じで概ね満足。
他の掲載作を読んだあとでは、百合としては極薄。
というか、普通に女の子が主役の青春譚だよね。
百合ものは読むのに覚悟とエネルギーが要る。
などと漠然と思っているのだが、ちょっとその理由の言語化に挑戦してみる。
なお、予備知識の無い作品、特に読み切りものに限る。
1.単純に、恋愛物であること。
バトル、コメディ、ミステリ、サスペンスといった他のジャンルに比べて、恋愛が
軸となる作品は、キャラクタの心情を追う必要があり、ここにエネルギーを使う。
頭を使うという点ではミステリも同じだが、こちらは解答編でカタルシスが有るので
消費した分のエネルギーを回収できる。
2.同性であること。
なにを当たり前な、と思うがこれが重要だ。
つまり、主な登場人物が三人以上になった時、想い合う矢印の方向が予測し辛いこと。
男女間の恋愛物で、女Aと男B・Cが居れば B→A←C という形は暗黙的了解で、
あとはAがどちらを向いているか、に焦点を絞って見ることができる。
女AとBとCの場合、誰がどちらを向いているか容易に特定できない。
AはBに視線を向けているけれど、BはCと出来ていて、しかしCの本命はAだとか。
もっと複雑なケースも有るだろうし、広めに構えておくためにエネルギーを消耗する。
3.各キャラクターの、同性愛に対する許容値の差。
百合専門誌だからといって、登場する女性全員がガチな訳ではない。
女の子同士のちょっと絆が深い友情もの、というパターンも有れば、そう思わせて
片方はガチレズ、片方はノンケというパターンも有り、さらには、片方が同性愛に
嫌悪感を持つ場合すら有る。
これは、性質としては第2項と同じで、作品の振り幅を広くしている要因だろうか。
4.主な登場人物が女性しかいないこと。
自分が男性だから、やはり男女間の恋愛ものでも男性側の心理の方が理解しやすい。
こんな感じだろうか。
2と3はしかし、そのまま百合ものの魅力なんだろうな。
複雑な人間関係や思惑を追いかけるのは、実際刺激的だ。
ただ、百合に馴染み薄い30男にはちょっと強すぎる、というだけで。
逆に、百合ものと言っても差し障りないはずの ひだまりスケッチ にノーガードで接しても
ダメージが無い、どころか癒しすら感じるのは、カップリングが確定しているからだろう。