読んだマンガ---施川ユウキ

「誰かと食べる餃子より 一人でナメる飴の方がうまい」
餃子の話は共感させられる。
ごはんは誰かと一緒に食べるのが普通、だとか独り身でいることが異常であるとか
そういう常識を静かに否定してくれている。
生活の中で無意識に目を背けている穢さに触れているのもポイントだ。

序盤のエピソードは「死」を意識する話が多かったが、次第に「独り」の方に
焦点が寄って来たように感じた。
鬱野はその「独り」をいいバランスで楽しめているので、コメディーが成立している。

でも、もう少し哲分多めでもいい気がするよ。

妖精の存在は、微妙だな。導入やオチといった脚本の事情で存在している感が有る。

なんか、紙が硬い。いい紙使ってるのか?

”聖書曰く”の話でサナギさんの「ダモクレスの剣」を思い出した。

意外と軽妙なコメディーで、チョイチョイ笑える。
POP作りの話は特に笑えた。

SF。

誰もいなくなった世界での日々、というと最近では”地球の放課後”を思い出すが
リアル志向なあちらと違って、本作は誰も居ないことによる不便が全く目立たない。
一言で言えば、都合がいい。
電気が通っていることを筆頭に、変な張り紙、やせ細ったポストなどの不条理が
ちょくちょくと登場する。

最初は、世界設定がいい加減な気がして、しっくり来なかったのだが、
次第に、この世界は誰かが用意した箱庭か、はたまたミヤコの見ている夢である
という、一歩遠くからの視点で解釈する様になる。
そうすると次第に世界設定のことはどうでも良くなってきて、二人のやり取りを
素直に楽しめるようになってくる。

結局、あの世界に関する謎は何一つ解明されなかったけど、それでよかったと思う。
あの世界の謎が解明されなければならないと考えるとしたら、それは今私達が
生きているこの世界が原点・基準だという思いが有るからだ。
逆説的に、二人にとって大切な物が元の世界ではなく、今二人でいるこの世界だと
言われているようなもので、多分それがハッピーエンドだ。