「茄子」 アンダルシアの夏 を観た

レンタルにて。

茄子 アンダルシアの夏 [Blu-ray]

茄子 アンダルシアの夏 [Blu-ray]

いやあ、イイね。

原作マンガの巧みさは、極短い尺の中に、結晶めいて抽出された必要最低限の描写にある。
敢えて余計な説明をはせず、さりとて物語の裏まで想像を及ばすに足る絶妙な取捨選択。

それに対して、本作は始まるや否やオリジナルシーンだったもので、若干の不安を覚えた。
しかしまあ、それは原作の雰囲気を知らない人に対する導入と考えれば許容範囲な内容。
以降に登場するオリジナルシーンは、スペイン的な風習や雰囲気を増補することに重きを
置かれている印象で、余分に思うことは無かった。

徐々に水分が失われていくぺぺの顔色や、スペイン情緒を感じるBGMなんかは、
アニメ化の意義を感じる場面に思う。
特にBGMは、ゴールスプリント少し前から気分を昂揚させるに、充分な役を果たしている。
おかげで、いざスプリントという場面では、前のめりで画面に食らいついてしまった。

ゴール直前、選手たちが魅せる必死のスプリントの表情は、やはり原作が勝っていた印象。
白黒の線画ならではの泥臭さと、わずか2ページに凝縮する尺の取り方はマンガが有利か。
それでも、原作のエネルギーを再現しようという勢いは十全に感じたよ。

あと敢えて不満点を挙げるなら、声優かなあ。特にカルメン
この手の作品だと、プロモーション的にTVタレント起用するのは仕方ないんだろうけどね。
上手なら文句言わないんだよ。なんだか、演技がのっぺりしているから、不満が出るんだよ。
レース解説の人は、本物のテレビのスポーツ中継のようなリズムが有って良かったけど。